公演情報

VOL.6「逢魔ヶ刻」:公演舞台写真

099.jpg気合入れろ! 今日は祭りだ!
祭りの日は学校、仕事、全部忘れろ!
女房子どもを泣かしても、祭りをおろそかにしちゃあならねえ。
ええい、こちとら、江戸っ子でい!

098.jpg夕方、公園で遊ぶ子どもたち。
仲良く遊んでいたけれど。
「あ、見て! もうすぐお日様沈んじゃう!」
「お日様が沈むと、お化けがいっぱい出るんだよお!」
「へーん、そんなの怖くないもんね」
「包丁おじさんも出るのかなぁ・・・」
飛び交う噂。

097.jpg「お前、言ってみろよ」
無口な少女はおもちゃの拳銃を持たされ、
噂の四つ辻に立たされる。
「ばーか、騙されてやんの!」
「そうだ、先に帰っちゃおうか」
「あははは!」

096.jpg先生(雅憐)は町中の人々から頼りにされている。
今日も田村さん(中田豪一)が相談に訪れる。
「先生、僕にはわかるんです!」
「そう言われてもなぁ・・・」

095.jpg先生の周りには、いつでも人が集まってくる。
ヤクザになりたいという心優しいチンピラ・清春(佐藤信也)、
先生の飼うインコを世話する高校生・夏子(乃村千絵)、
先生と暮らしているキョウコ(長谷椿)。

094.jpg地元の祭りを仕切るのは圭介(今井清光)。
実家に居ついて、働きもせずダラダラと生きている。
彼女の由香(鈴木裕美)には冷たい態度である。
しかし、由香はそれでも圭介が好きらしい。

093.jpgなぜか感情を抑えられず、突然抱きつく由香。
驚く周囲。
それを貫くキョウコの視線。
何かが普段と違う。

092.jpg圭介は相変わらず由香に構わない。
彼女の前でキョウコに色目を使っても平気である。
必死で笑顔を作る由香。

091.jpg先生はいつも温かい笑顔を絶やさない。
しかし、この電話の相手は別のようだ。
「わかってる・・・ちゃんと期日までには払うから」

090.jpg町の外れでスナックを経営する純子(穂科エミ)。
先生の家では浮いて見える。
勝手に冷蔵庫を開け酒を飲む態度に周囲は戸惑う。

089.jpg清春と二人きりになり、キョウコは不思議な言葉を投げかける。
「みんなの気持ち、全部しょいこんでたら疲れちゃうよ」
「え、なんすか?」
「フフフ・・・」
「やっぱ一人や二人殺さないとハクつかないっすかね。
銃でもあればなぁ・・・」
「銃なんかなくても殺せるわ。
人なんて、言葉で簡単に殺せんるんだから」
日常の風景が次第に軋みはじめる。

088.jpg「黒人になっちゃいましたー!」
いきなりアフロ姿で現れた田村さん。
毎日のように先生に相談を持ちかけた彼は、
自分には黒人の血が流れている、
という妄想に取り付かれていたのだった。
「あーあ、とうとうなっちゃった」
一線を越えてしまった彼に、周囲は呆れ、諦めるしかない。

087.jpg由香と圭介の仲も揺らいでいた。
「私は圭介の隣でいつも温もりを感じていたいの。
どうしてわかってくれないの?」
ついに想いを吐き出す由香。
しかし、それでものらりくらりとかわす圭介。
気持ちを受け止める術を知らない彼は言う。
「うぜーって、そういうの」

086.jpg動揺する圭介の心にスッと入り込むキョウコ。
「ねえ、私のことどう思ってるの?」
「え?」
「一線、越えてみようか」
「・・・はは・・・おかしいや、キョウコさん」
変わってしまった空気は、もう戻らない。

085.jpg田村さんは、先生の「大丈夫」という言葉にすがっていた。
先生なら大丈夫と言ってくれる。
その言葉のせいにして、現実に背を向けようとしていたのだ。
「とりあえずアフロ取りましょう」

084.jpg支払われた金額が少ないと怒鳴り込んできた純子。
彼女は先生をゆすっていた。
「あの人の保険金で悠々と暮らしてるんだもの。
それくらい当然じゃない! 人殺し!」
「殺してなんかいない!」
先生は、親友であり純子の婚約者であった男の死に
深く関わっていたらしい。
「ウソだろ・・・先生が人殺しだなんて・・・」
先生を慕う清春ショックを隠せない。

083.jpg「もういい子にしてたって何にもならないじゃない!」
夏子にも限界が訪れる。
父親はほとんど家に帰らず、母親からは暴力を受け、
先生とみんなとの時間が夏子の支えだった。
しかし、この日、両親の離婚が正式に決まったのだ。

082.jpg可愛がっていたインコを空に放つ夏子。
「きっと息苦しかったんだよ。いつも籠に入れられて。
だから放してあげるの!」
「ちょっと待てって!」
「先生・・・あたし・・・大丈夫だよね・・・?」
先生の答はない。
飛び出す夏子。それを追う清春。

081.jpg「ねえ、先生。先生は大丈夫?」
「お前・・・いつから・・・?」
「いつから先生って呼ばれるようになったんだろうね」
「いつからいる・・・お前・・・お前誰なんだよ!」
「フフフ・・・」

080.jpg血まみれで戻ってきた清春。
「先生・・・オレ、やってやりましたよ。
どうせ殺すなら、ロクでもないヤツ殺さないと。
オレ・・・いいヤクザ目指してますから」
包丁を握り締めて笑う清春。

079.jpg「フフフ・・・だから言ったのに」
一人、笑うキョウコ。
すべてが狂っていく。
すべてが壊れていく。
本当と、本当じゃないの、境界線が、
ぼんやりとして、

078.jpgねえ、知ってる?
夕方、五時
あの四つ辻に
包丁おじさんが
出るんだよ。

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